僕たちは回り続ける


「ありがたくいいただきます」

料理などしたことないだろうことは容易に予想できたが、彼なら本を片手にうまくこしらえてくれることだろう。


「駿誘わなきゃね」

「本当は二人っきりのほうがいいんだけど。落ち着いて話せて」

常識者の2人のいないあの3人組は今どうしているだろうか。静香はお前は忍者かと問い詰めたいぐらいにどこにでも現れる。

力はありそうだが、女に暴力ダセエと思ってるタイプに見える。

このままじゃ彼の貞操が危ない。


「早々、三味線の歌ばっかじゃつまらないだろうって音源データもらったんだ。
携帯に入ってるんだけど、綺麗な声だよねぇ。歌手ってすごい。でも、働いた割にはあまり稼げないって言うか、売れれば売れるほど過激を求められてお金は無くなってく……」


流れてきた歌は切ないものだった。高めのソプラノを力強く歌っている。何回も聞いているとつい口ずさんでしまう。


「今度CD焼いてあげるね」

「有難う」

「ひきこもってやる趣味って限られてるからね、次はこの曲にしようか」


そう言って定期的に曲を変えていく。
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