紅い月と蒼い月





「なんですか?流風さん」



「遊佳ちゃんがいないの!!それで置き手紙が…」



「置き手紙!?」



『海斗…ありがとう…流風さんにも克之さんにも本当に感謝しています…
お世話になりました…
あたし一人で魅佳を倒しに行ってきます…
数馬の遺言の約束を破らせてもらいます……
帰らないと思うので…よろしくお願いしますね…
迷惑をおかけしました


遊佳』



「克之さん!!」



「どうした海斗…手紙にはなんて」



「…遊佳が魅佳のところに向かいました」



「なんだって!?」



「数馬との約束は破らせてもらうと…書いてあります」



「……………」



「こんなのって…」



「遊佳を助けに行ってきます…」



「まだだっ!!」



「でもっ!!遊佳が!!」



「感情に流されて行動するのは良くないわ…かつてあたしも……」



「とにかく…遊佳ちゃん自身が何を見つけ…気付くかだ…今の遊佳ちゃんは自分自身を見失っている状況だ…俺達は見守ってるしかないんだ」



「そうかもしれません…でも俺は遊佳が心配なんです!!数馬の件で見失ってるかもしれない…それでも俺は信じてます!!数馬の遺言を守ってくれると」



「海斗…貴方は克之にそっくりね…克之はそこまで感情を現わにしなかったけれどね…」



「遊佳が後悔にしないように…そして数馬の約束を守ってくれるように…
俺は…遊佳の元へ行きます」



「…止めても無駄だな」



「じゃあ!!」



「ただし俺達も行く
お前らだけだと心配だからな」



「魅佳ちゃんは多分…病院ね」



「(遊佳…待ってろよ!!)」



熱い想いを秘め…



少年は愛しき人の元へ参る



< 35 / 39 >

この作品をシェア

pagetop