ウソツキの王様。
王様も笑った。
嘘をついたときより楽しかった。

王様は宇宙船を見て

「きっと誰かがお主に気づくだろう。本当はいい狼だってことに。宇宙船を直して帰ったほうがいい」

狼は少し嬉しそうな顔をして、寂しげに言った。

「せっかく友達が出来たのに」

王様はお城に戻るため走りながら狼に言う。

「わしはいつでもここにいる。会いたくなったら来ればいい。これは嘘じゃない」

狼は笑った。

王様が嘘を否定したのはこれが初めてだった。

王様はお城から工具を持って走ってきた。
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