永遠の約束-約束のはじまり-
「俺は奴に攻撃してくる」
「え~っ!?」
「とにかく、頼んだぞ!」
真里が弱音を吐く前に綺羅は行動に移すことにした。
もう後戻りはできない。
ここに足を踏み入れてしまったからにはこの自分の力を信じるしかない。
綺羅は目を閉じ、両の手の平を合わせて意識を集中させる。
体中から血液が逆流しているかのように熱く手のひらに向かっているのが自分でもわかる。
これが、教えてもらった力。
今は亡き深青の父親に教えてもらった自分の力。
『綺羅くん、いいね? この力は闇雲に使ってはいけないよ。おじさんがなぜ君にこの力を教えたのかというと、それは君に何かがあった時、君が自分を守れるためになんだよ。何か危険が迫った時、大切なものを守る時、この力を使いなさい』
この力の使い方を教わった時の記憶が綺羅の中でよみがえる。
この力を使うのはあの日、深青と別れてからは初めてだ。
自分の力が集中する感覚を思い出しながら綺羅は目を開いた。
合わせた手のひらの左手から右手をグイッと離していくと光に輝く鋭い剣が現れ始める。
その光景を見ながら、綺羅は自分が如月神社で過ごした記憶は紛れもない事実なのだと確信できた。
「え? 綺羅…く…ん……。それって、深青ちゃんとお…なじ?」