永遠の約束-約束のはじまり-
驚いた顔で自分のことを見てくる真里の顔を見ていると綺羅はおかしくなってきた。
そうだった。
たとえ、深青がどこにいるのかわからなくても、この力が俺と深青を結びつけてくれている。
何も考えることなんてない。
綺羅はまっすぐに敵を見つめると、剣を構え、走り出した。
霊気はひしひしと感じるのに実態を持たないのか、霊は黒い靄に包まれている。
実体が靄の中にあるのかどうかはわからないが、綺羅はただ自分の力を霊力の強いところめがけて振り下ろした。
途端に、黒い靄は一瞬にして散らばる。
そして、今まで巨大な霊力を発していた気配は消えてしまった。
「・・・・・・・」
このプレハブに入った時は、自分の力がこの巨大な霊に立ち向かうことができるのかと不安に思っていたが、あまりの呆気なさに、綺羅は呆然と立ち尽くしてしまった。
これで…、終わりか?
綺羅は眉を顰めながら、自分の手に持っている剣を見る。
「なんか…、ただ単に低級霊が集まって大きくなっていただけみたいだね………」
真里の言葉に綺羅はハッと意識を戻した。
「そう…みたいだな………」
「これぐらいの霊なら、ほっておいても影響はないでしょ」
「たぶんな。だけど、このプレハブは霊を呼び込む嫌な気が流れているみたいだな」
霊を倒したというのに、それでも澱んでいる空気を感じるところを見ると、この場所は霊を引き寄せやすい場所にあるようだった。
自然と綺羅と真里は顔を見合わせた。