永遠の約束-約束のはじまり-
「おはよう………」
教室に入り、自分の席に着いた綺羅の前に低い声で挨拶をする人物。
綺羅は、なんとなく後ろめたさを浮かべながら顔を上げる。
「おはよう、真里(まり)」
作り笑いを浮かべるものの、目の前の彼女は眉を上げ、腕を組んで綺羅を上から見下ろす。
「どういうこと?」
「え? どういうことって?」
挨拶も返さないで厳しい表情で自分を見てくる真里に、綺羅は真里が何を言いたいのかわかりながらも、知らないフリをする。
「ふざけないでっ! 綺羅くんが松方先輩と付き合っている話っ!」
いつもは大人しい真里がめずらしく大声を出して怒っている姿にクラスメイト達の視線が一気に綺羅たちに集中する。
「ちょっと、真里。みんなが見てるって」
「えっ?」
綺羅に言われて周囲を見渡す真里。
自分たちが注目を浴びていることに気づき、真里はポッと頬を染める。
その時―――――
「おっはよ~んっ!」
なぜか静まり返る教室の中に緊張感のない暢気な声が響き渡る。
「あり? なに? どうかした?」
静まり返る教室の雰囲気に何かを感じたのか、お調子者の男は頭を掻きながら、当事者である綺羅たちのところへと歩いていく。
「なあ、綺羅。何かあったのか?」