永遠の約束-約束のはじまり-
「別にお前のせいじゃないよ。和田って知ってるけど、たかがふられたぐらいで姿をくらますほど神経細い奴でもないし」
「あ、ああ………」
別に和田あゆみが行方不明のことに自分が責任があるとは思っていなかった綺羅は、柏葉に慰められ、複雑な表情で笑みを返す。
「気にすんなよ」
「ああ」
気にはしていない。
和田あゆみが自分のせいで行方不明になったとは思ってもいない。
だけど、周囲はそうは思ってはいないだろう。
自分に向けられたあの視線がそれを物語っている。
これからのことを考え、綺羅はため息を吐いてから、その行方不明が何の事件性もないことを祈った。
「おはよう、麻生くん」
すでに来て、自分の席に座っていた宮城礼香は頬杖をつきながら、自分の席に鞄を置いた綺羅に挨拶をしてきた。
「ああ、おはよ」
普通に席に着き、鞄から教科書を机の中にしまっていると、綺羅はツンツンと背中を突かれ、仕方なく振り返る。