永遠の約束-約束のはじまり-
今来たばかりの彼は不思議そうに首を傾げながら綺羅に聞いてくる。
綺羅はフゥ~と息を吐いた後に冷たく「知らない」と一言だけ彼に告げた。
「なんだよ。何怒ってるんだよ~…。真里ちゃんは何か知らない?」
急に話を振られた真里は「えっ!?」と驚いた後、視線を宙に彷徨わせてから何か思いついたのか急に男に詰め寄る。
「ねぇ、柏葉(かしわば)くん。柏葉くんは知っていた? 綺羅くんが松方先輩と付き合っていること」
「えっ!? なに? お前、とうとう告白受けたの?」
不服そうな真里とは反対に柏葉はうれしそうな顔で綺羅に詰め寄る。
綺羅は周りの反応など全く考えずに大声で言い放つ柏葉を思いっきり睨む。
「うるさい」
一言それだけを言うと、綺羅はスッと席を立つ。
登校してからずっと誰かしらの視線は受けていた。
それは理佐子と一緒に登校して来たから仕方がないとは思っていた。
だけど、こんな風に面と向かって真里に聞かれると、綺羅は自分の心の奥底を見透かされそうで怖くなった。
「おい、綺羅~?」
急に席を立ち、教室から出て行く綺羅を後ろから心配そうな声をかけてくる柏葉。
だけど、綺羅はその声に応えることもなく、教室を出て行った。