永遠の約束-約束のはじまり-


「私たちはこんな力を持ってるけど、別にそういった退治を基本にして身につけたわけじゃない。自分の身を守るための対処法として教えてもらっただけ。だから、この前みたいな敵が出てきた時、逆にやられちゃうのは私たちかもしれないの」


「それは………、考えなくちゃだけど。でも、見えない霊的な被害って結構たくさんあるのよ。それを対処する人も少ない。それなら、力を持つ人はしなくちゃいけないんじゃない?」





 必死に説得しようと試みる慈。


だけど、真里は首を横にふるばかりだった。


「俺たちはこんなことをするためにこの力の使い方を教わったわけじゃない。ただ、自分の身を守るため。それ以外は使わないようにと言われてきたんだ」


「そんなの…宝の持ち腐れだよ」





 皮肉気に笑う慈。


彼女が一歩も引かないことを見て、綺羅は仕方なくこう切り出した。


「お前、いつも依頼だって俺たちに仕事持ってきてたけど、別にただでしてたわけじゃないんだろ? いくらもらってたわけ?」


「・・・・・えっ・・・」


「綺羅くんっ!」





 綺羅の言葉に、顔色を変え、言葉を失う慈。そんな慈を見て、真里は咎める意味を込めて綺羅を呼んだ。


「別に今さら、分け前をくれとかそんなことは言わないさ。そんなもの、もらおうとも思っていない。だけど、それは俺たちが退治したからもらえたものなんだろ? 今まで、なんの文句も言わずにやってきたんだ。辞める時ぐらい自由に辞めさせてもらう。今、お前が請けた分の依頼までは引き受ける。だけど、それ以上は請けないでくれ。俺たちの力や知識では退治を仕事にするなんて無理なんだ」





 いつもなら、言葉の端々に反論を入れてくる慈だけど、今に限っては彼女はじっと黙って綺羅の言葉に耳を傾けていた。





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