永遠の約束-約束のはじまり-
綺羅は自分が話し終えた後も黙り込む慈へと視線を向ける。
慈はしばらくの間、黙り込み、考え込んでいるのか額に軽く手を置きながら俯いていたが、ゆっくりと頭を上げた。
「わかったわ。私も結構強引なところとかあったし。だけど、これだけはわかってくれるかな? 別に私、稼いだお金を私的に使ったことはないからね」
口を尖らせながら言う慈に綺羅は「わかってる」と優しく笑う。
そして、真里や柏葉にも視線を向けた。
「真里も雅俊もそれはわかってるさ。だから、今まで誰も文句一つ言わなかった。まあ、雅俊は違う意味で文句たらたらだったけどな」
「おいっ、綺羅。そこは言わなくてもいいところじゃないのか?」
眉を寄せながら、膨れる雅俊を見ながら綺羅は笑う。
「部室に一つずつ増えていく備品。これだけ揃えるのには相当な金額が必要だ。だから、お前が自分のために使っているなんて思ってもいないさ」
綺羅のその言葉に、慈はニィと口を開いて笑う。
「それならいい。みんなわかってくれてたならいいよ。ここも居心地よくなってきたし、これ以上、備品を揃える必要もなくなってきたもんね。そろそろ辞めるのもいいかもしれない」
慈は自分の鞄から手帳を取り出すと、愛おしそうに見つめた。