永遠の約束-約束のはじまり-
「でも、真里ちゃんの指摘は、俺にとっては耳の痛い指摘だったね。ばっちり、当たってたもので。実は今回は、真里ちゃんのご推察のとおり。ちょっと頼みたいことがあってね」
「頼みたいこと?」
綺羅は翔を見る。
翔からの頼まれごとなど、今まで一度たりともなかった。
だからこそ、一体、何を頼みたいのか気になった。
「これは俺というより、理事長からの依頼と考えてくれていい。お前たち、今、悪霊退治を辞めるとかなんとか言ってたけど、これだけは請けて辞めてくれないかな? 個人的な勝手な言い分で悪いんだけど」
「私はもちろん、OKです。龍野先輩からの依頼なのですから。ただ………」
即答で返事をする慈。
だけど、慈はその先の答えを求めるように綺羅のことを見てくる。
綺羅は慈の視線が自分に向けられているのを感じながら、あえて顔を見なかった。
そして、両手の指と指を交差させた状態で机の上に手を軽く乗せる。
しばらくの間、逡巡した後、綺羅は翔へと顔を上げた。
「わざわざ俺たちにそういう話を持ってくるということは、それって霊が絡んでるということですか?」
「ああ。つまりは、そういうこと。こんな非科学的な現象、いくらプロだと言っても、警察は頼りにならないからね。それなら、少しでも知識がある君たちに頼もうということになったんだ」
フッと余裕たっぷりな顔で笑う翔に綺羅は疑いの視線を向ける。
「それって、理事長が言い出したことなんですか? それとも………、先輩が?」