永遠の約束-約束のはじまり-
綺羅たちが非科学的な事件を解決していることを翔は幽霊部員だが、一応部員として知っている。
だけど、ひた隠しにしていたこのことを翔が言わない限りは理事長が自力で知るとは思えなかった。
つまり、この依頼を自分たちに進んで持ってくるとも。
「さすが、綺羅。勘が冴えてるね。隠しても仕方ないことだから言うけど、俺がお前たちに頼んだほうがいいんじゃないかって助言しておいた」
やはり………。
そう思うのと同時に綺羅は頭が痛くなってきて、目を閉じこめかみを押さえた。
つまりは、俺たちが今までそういう事件に首を突っ込んでいたということを理事長は知ってしまったということ。
天文部が名ばかりだと知られてしまったというわけか………。
この先、理事長から何を言われるのか不安にも思うが、綺羅はこの依頼は断ることができないのだと感じる。
わざわざ、理事長が自分たちのこれまでのことを知っているということを翔が言ったこと。
それがつまり、これは断ることは許されないと示唆しているように綺羅は感じた。
「先輩。そこまで理事長に話したということは、もちろん、何かと引き換えに…ということですよね?」
頭もよく、食えない男だが、この人は自分たちに不利になるような話は持ち出さない。
そこは綺羅も翔のことを信頼していた。
翔はニッと笑うと「もちろん」と自信たっぷりに答えた。
「天文部の今までの勝手な行動については不問。ちなみに、前から綺羅には聞いていたプレハブの件も、この依頼が解決したら、取り壊してくれるそうだ」
「そうですか」
これで、わざわざ天文部がここにずっと部室を構える必要も、綺羅たちが卒業した後のことも心配する必要はなくなった。