永遠の約束-約束のはじまり-
暗く少しひんやりした階段。
そこをゆっくりと一段ずつ上がっていくと、綺羅はその先に続く一つの扉の鍵を開け、ノブを回した。
途端に広がる青空。
季節がら、春の今はこの屋上で過ごすのが綺羅の日課になっていた。
屋上は本来なら、生徒は立ち入り禁止。
いつも、生徒が入らないように厳重に鍵がかけられている。
だけど、その鍵も生徒会に入ってすぐに拝借し、スペアキーを作らせてもらった。
教師はそんなこと知らないだろうけど、これも生徒会の仕事をしている特権だと綺羅は勝手に自分で思っていた。
「ふぁ~~~…、疲れた~…」
綺羅はおもむろに屋上のコンクリートに仰向けに寝転ぶ。
大の字になり、こんな風に空を見上げると、綺羅は昔のことを思い出す。
* * *
「こうやって寝転ぶと、空に浮かんでるように思わない?」
神社の軒先で寝転ぶ彼女は突然、そんなことを言う。
いきなり意味のわからないことを言うのは彼女にとってはめずらしいことじゃない。
だけど、綺羅は首を傾げながら、彼女と同じように寝転び空を見上げる。
「そっかな~? それって、影法師のこと? 学校で言っていた」
「違うよ! あれは、じ~っと影を見てから空を見ることでしょ? 違うの! こうやって見ていると空に吸い込まれた気分になる」
まっすぐ空を見つめる彼女の瞳に青い澄みきった空が映る。
綺羅は彼女の瞳に見える空を純粋に綺麗だと思った。
そして、自分の同じように寝転び空を見上げる。だけど、綺羅は彼女が言っているような気分にはならなかった。