永遠の約束-約束のはじまり-
(3)
夕暮れの校舎の中。綺羅と真里は二人して校内をくまなく点検しながら歩いていく。
「ハァ~…、これじゃ、キリがないね………。どうする? 結界張って一気に片付ける?」
真里は立ち止まると辺りを見渡す。
前を歩く綺羅も立ち止まると、ゆっくりと振り返り顔を横に振った。
「いや。今はまだ人がいるし、下手に力は使わないほうがいいだろう」
綺羅のその言葉に、真里は肩を落とす。
「そうだね………。見られるわけにはいかないもんね………。でも、高等部だけでもかなりの敷地なのに、清涼学園の幼稚舎から大学まですべての敷地内を探すなんて」
いつもは文句なんて一言も言わない真里だが、さすがにその広さでは愚痴の一つも出てしまう。
「そうだな………。こんな風に闇雲に探し回るよりも、真里の結界で霊力を察知してもらうほうが、得策ではあるよな………」
暫しの間、立ちつくし考え込む綺羅。
そして、いい案が思いついたのか綺羅は顎に手を置いていた顔を上げた。
「よしっ。今から帰って、夜にもう一度来よう。鍵とかの問題もあるから、龍野先輩に頼んで。夜なら人もいないし、気にせず力を使うこともできる」
「そ、そうだね!」
綺羅の言葉に、真里はナイスアイディアとばかりに何回も頷く。
「じゃあ、夜にもう一度仕切りなおしだ」
「あ……、でも、慈と柏葉くんはどうする?」
真里に二人の名前を出されて、綺羅は今まで忘れていた二人の存在を思い出す。