永遠の約束-約束のはじまり-
日が落ち、月が空高く上がる頃。
清涼学園高等部の校門前に立つ、綺羅と真里の二人………のはずが………
「どうして、先輩が今ここにいるんですか?」
綺羅は横目で隣に立つ男を睨む。
「あ、俺? そりゃ、お目付け役というか、鍵が必要だって言ってただろ? だから、俺がほら。案内役も兼ねてね」
ジーンズのポケットからジャラジャラと音をさせながら取り出してきた鍵。
それをわざと揺らしながら、翔は綺羅たちに見せ付ける。
それを見て呆れた顔で翔を見ながら、綺羅はハァ~…と深く溜息を吐いた。
「もし、これが先輩たちが言っていたとおり、霊の仕業ながら危ないかも知れないんですよ。そこのところ、わかってるんですか?」
「わかってる、わかってる。その時は、お前たちがちゃんと守ってくれるんだろ?」
この人…、全然危険性をわかってない………。
綺羅はお気楽に笑いながら、軽く綺羅の肩を叩く翔にがっくしと首を倒した。
「それよりさ、こんな校門前でじっとしてても仕方ないだろ? さっさと中に入って調べようぜ」
誰のせいで、こんなところに立ち往生してると思ってるんだ。
全く自分のせいだなんて思っていない翔のその言葉に、綺羅は今はこの場に居ない慈を思い出す。
折角、相良を撒いたのに先輩が一緒なら意味が……
「ほらっ、綺羅。さっさと行くぞ」
綺羅は翔に強引に腕を引っ張られ、少しだけ開けられている校門から入った。