永遠の約束-約束のはじまり-
「そんなっ! こんなに証拠があるのにですか?」
真里は染み付いているシミを指差した。
だけど、翔は顔色一つ変えずに「ああ」と呟く。
「このシミはすでに調べられている。これは和田あゆみの血痕とかではなかった」
「じゃあ、違う誰かの?」
「それは、人間の仕業とした場合だろ?」
綺羅のその言葉に真里はハッとする。
「あ………、そうか」
「そもそも拭いても拭いても聞けない血痕なんて聞いたことがない。道路とかならまだしも、ワックスのかかった廊下だぞ。これは霊の仕業以外に考えられない」
はっきりとした綺羅の言葉に翔はニッと笑う。
「だから、お前たちに頼んだんだよ。実は事件性はなかったんだけど、校内ではたびたび不審な出来事が起こってて、気にはなってたんだ。近いうちに対処しないとと言ってたんだけど、そう思っているうちにこんなことに………」
心痛な面持ちの翔に、綺羅はかける言葉がなかった。
いつかしなくてはと思っていながら手が打てなかったとなると、翔の無念な気持ちは痛いほどわかる。
綺羅も自分が告白を断ったことでこういうことになってしまったのではないかという一縷の不安が残っていた。
だからといって、それは綺羅が告白を受けることで今回のことが防げたかというと実際のところはわからないのだった。