永遠の約束-約束のはじまり-





 綺羅はしゃがみこみ、目を閉じ意識を集中させる。





 ここが現場なら、何かしらの霊の存在が残っているかもしれない。





 来たときに感じた空気からは何も感じなかったから、もう何もないかもしれない。だけど、綺羅は一縷の望みにかけることにする。





 意識を集中させる綺羅。


 そんな綺羅を真里と翔はじっと静かに見つめていた。





 綺羅はフッと力を抜くと、閉じていた目を開ける。


「ここには、何も感じないですね………」


「じゃあ、ここじゃないということか?」





 翔のその言葉に綺羅は首を横に振った。


「いいえ。鞄や靴などが残されているのなら、ここが和田さんが襲われたところでしょう。だけど、何かをされたのはここじゃないのかも………」





 時間が経っていれば、霊力の流れは消えているかもしれないけど、昨日今日のこと。


 もし、ここで何かしらのことがあれば、きっと少しでも霊気は残っているはず。


 人一人が消えるなんてこと、よっぽどの力がある霊でないとできないはず。





 綺羅はふと真里のことを見た。


「真里。俺の力じゃ、ここまでが限界。後、頼めるか?」





 真里はにっこりと微笑みながらコクリと頷いた。





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