永遠の約束-約束のはじまり-
ついに、何を言おうとも全くわかろうとしない柏葉に綺羅は低い声で圧力をかける。
さすがの柏葉も綺羅のその声にビクリと反応する。
見れば、綺羅の周りにどす黒いオーラを感じる柏葉。
そこまで来て、柏葉は自分が言いすぎたことを感じる。
時すでに遅しなのだが………。
「綺羅くん。綺羅くんは本当に松方先輩のことが好きなの?」
今にも柏葉が綺羅に殴られそうなところで、抑揚のない真里の声が入ってきた。
立ち上がっていた綺羅は柏葉に向けられていた視線を真里に返す。
「・・・・・ああ」
一瞬、逡巡しながらも綺羅は真里に返す。
だけど、真里は思いつめた真っ直ぐな瞳で綺羅を見つめ返す。
その瞬間、ほとんど無意識のうちに視線を逸らしてしまう綺羅。
それが、逆に真里に確信を持たせてしまうこととも知らずに。
「じゃあ、どうして? どうして、綺羅くんは私の目を見ることができないの? 本当ならちゃんと私を見てよ。見て、『そうだよ』って言ってよ。でないと、私、納得できないよ」
「あのさ~…、真里ちゃん。綺羅は自分で決めたんだから、そんな風に言わずにちゃんと祝福してあげようよ」
「柏葉くんは黙ってて!」
いつになく真里に強く言われ、柏葉は「はい」とシュンとして黙り込む。
「私、綺羅くんが本当に松方先輩のことが好きならいいんだよ。そりゃ、残念だと思うけど。でもね、綺羅くんが松方先輩のことを好きだとは私は思えないんだ。好きでもないのに付き合って、傷つくのは松方先輩と綺羅くんなんだよ」
「・・・・・・・わかってるよ。そんなこと………。だけど、少しでも好きになれそうだと思うのに、付き合うのは悪いことかな? 本当に好きな人とでないと付き合っちゃダメなのかな?」