永遠の約束-約束のはじまり-


「慈は女の子なの! 悲しいこともあるし、落ち込むこともあるの!」


「わかったって! 真里。もう、何も言わないから」





 めずらしく怒り出した真里に綺羅は焦ってなだめる。


 いつもは怒ったりしない真里だから余計に自分の言った言葉が度を過ぎたのだと思い知らされる。


「はぁ~…、酷いよ。綺羅くんったら………」





 それでも、真里の心の中は落ち着かないらしく、非難を込めた言葉を漏らす。


「それより、相楽にも手伝ったもらっていいから」


「本当っ!?」





 今まで、まだ引きずっていた感じだったのに、真里はケロッとした顔を見せる。


「ああ。その代わり、相楽には誰にもばれないようにしろって言っておけよ」


「それはもちろん! たぶん、そう言われると慈は燃えちゃうんじゃないかな? 隠密行動とか暗号とか秘密っぽいの好きだもん」





 それは何よりだ。





 心の中でそう思いながら、綺羅は「じゃあ、頼むな」と真里に頼む。


 任された真里は自分の胸をポンと軽く叩いた。


「任せといて。こういうところで役に立つから」





 うれしそうに部室を出て行こうとする真里に綺羅は軽く手を上げる。





 真里が出て行き、部室のドアが閉まったのを見てから、綺羅は自分の首に下げてあるペンダントを握り締める。





 俺の考えが間違っていればいい。


 もし、俺の想像通りに何者かが故意に和田を連れ去ったのなら、俺はもしかしたら、霊ではなく人間と戦うことになるかもしれない。


 その時、俺はこの力を人に向かって使うことができるのだろうか………。





 事件を解決するため、和田あゆみを救い出すこと。


 それとともに、もしこれに人の意思が関わっているのなら。


 綺羅はきつく目を閉じ、ペンダントを握る手に力を込めた。










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