永遠の約束-約束のはじまり-
「つまりよ、和田あゆみを憎む人間はたくさんいるってこと。動機を持つ人間がね」
「でも、一般的に考えて霊を操ったりする人間はそう多くはいないよ」
慈の言葉に至極当然の答えを真里は答えた。
「そりゃそうよ。そんじゃそこらに、不思議な力を使えるような人が溢れてたら困るわよ」
「じゃあ、簡単なんじゃない? そういう力を持つ人で和田さんのことをよく思ってない人を探したら………」
自信満々に話す真里に綺羅は「待った」と口を挟む。
「真里の言うとおりに、そういう力を持つ人物で和田を恨んでいる奴を探せばいいけど、どうやって探すんだ? 力を持っているとか持っていないとか」
「あ・・・・・」
当然のことを指摘され真里は言葉を漏らす。
「確かに真里の言うとおり、そんな力を持っている人を探せれば一番いいことだけど、そもそも和田あゆみに恨みを持っている人間の仕業とは言い切れないんでしょ?」
「ああ。それは一つの可能性としての話だ」
「そう……。それなら、確信を持てないことでそこまでするのはリスクが高いわよね。もし、全く関係ないことなら無駄になるし」
慈の言うことにも一理ある。
絶対に怨恨だというのであれば、どんなことをしても調べる必要はあるだろう。
だけど、今の状態ではまだ綺羅の想像の域を出ない。
でも、今回の慈の調べを聞いて、綺羅は自分の考えが少しばかり当たっているのではないかと思い始めた。
少なくとも、和田あゆみ自身に問題はないと思っていたことは覆された。
和田あゆみをよく思っていない人間がいるということ。
それは少しだけでもこの事件に近づいたように綺羅には思えてならなかった。