永遠の約束-約束のはじまり-










 教室の窓際に座っていた綺羅たちにうれしそうに近づいてくる渦中の人物。


もちろん、クラスメイトたちも彼の人物の突然の登場に視線を向けていた。


たくさんの視線を受けながら、ものともしないでそれさえも喜んでいるように彼女はにこやかな笑みを浮かべながら綺羅たちの元へと颯爽と歩いて行く。


「やっぱり、教室に居たのね? お昼の約束をしていなかったから、もしかしてと思ってたんだけど………」


「松方先輩………」


どうやら理佐子は昼休みを綺羅と過ごそうと教室までわざわざ来たらしい。


少し前にそれらしいことを言っていた雅俊が「ほら」と言わんばかりに綺羅の脇腹をつつく。


「あ………、ごめんなさいね。お昼の邪魔をするような形になってしまって」


雅俊の存在だけに気が付いていた時はそんなことなど気にもしていなかったのに、一緒にお昼を取っている相手の中に真里を確認した途端に理佐子は余裕を含めた笑みを真里に向ける。


「いいえ」


真里は特別理佐子に食いつくこともなく顔を見ることもなく、お弁当を黙々と食べていた。


少しばかり予想外だったのか、理佐子はホンの少し、クラスの誰もそれに気づくこともないほどに表情を変えながらも、さりげなく綺羅の腕を掬い取る。


「悪いんだけど、麻生くんをお借りしてもいいかしら?」


言い方は質問系だけど、そこには彼女の特権のようなものが含まれているようで誰も拒否できない雰囲気が含まれていた。


「はい。どうぞ、どうぞ」


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