永遠の約束-約束のはじまり-
「別に深刻ではないさ。ただ、落ち込んでるだけ。それで話をじっくり聞いてやろうと思って連れてきたんだ」
「そう………。一人で悩むよりも誰かに打ち明けたりしたほうが心も軽くなるものね。綺羅、ちゃんと雅俊くんの話を聞いてあげるのよ。面倒くさいとか言って、適当に聞いたりしちゃダメだからね」
「わかってるよ」
そんなに念を押されなくてもわかってるし。
綺羅は、これ以上口うるさく言われるのを避けるためにさっさと二階へ上がってしまおうと用意されていた茶菓子が入った器を持っていく。
「アイスコーヒー、用意できたら持っていくからね」
適当に話を作って言っただけなのに、どうやらうまくいったようだった。
でも、あながち全てが嘘というわけでもないので、下手に突かれても大丈夫だ。
友達のことで雅俊が悩んでいるというのは事実だったのだから。
綺羅は階段を上がり、自分の部屋に入ろうと前まで来た。
すると、きちんとドアを閉めてなかったのか、わずかな隙間が開いていた。
その隙間から綺羅はそっと中を覗く。
予想はしていたものの、そこには冴えない表情でじっと床を見ながら座っている雅俊の姿があった。