永遠の約束-約束のはじまり-
「お、お母さん、そこまではするつもりはないから。わかった、わかった。うん、綺羅に任せる」
うんうんと頷きながら、美恵子はそそくさと階段を降りて行く。
美恵子が完璧に会談を降りてしまったのを確認してから、綺羅は一つ息を吐いてようやく部屋の中へと戻った。
「さすがに『軽蔑』ということはひどかったんじゃないか? 美恵子さん、傷ついたと思うけど………」
一応、小声では話していたのだが、二人の会話は雅俊にははっきりと聞かれていたらしい。
少し責めを込めた声で言ってくる雅俊に綺羅は「いいんだよ」と、ぶっきらぼうに答えた。
「でも、あの美恵子さんの慌てよう。絶対傷ついたと思うな~…」
「あれぐらい言わないと、あの母さんだ。あそこで引き下がるわけがないからな。第一、あれぐらいで傷つくような人なら、わざわざ怒られるようなことをしようとはしないだろ」
「まあ、それはそうかもしれないけど」
美恵子のことは雅俊もよく知っている。
だから、そんなに深くは言ってこなかった。
一応、責めた言葉を言ったけど、雅俊もまたわかっているのだ。
あれぐらいのことで美恵子がそう簡単に落ち込んだりはしないということを。
「ところでさ、お前はどうするつもりなんだ?」
邪魔は入ったが、綺羅は本題へと話を戻す。
雅俊も少し崩していた表情をこの言葉で、また難しい顔へと変わっていった。