永遠の約束-約束のはじまり-
光浦家を出て、暫くの間、綺羅と雅俊の間に会話は全くなかった。
だが、数歩歩いたところでその沈黙に耐えかねた雅俊は足を止め、綺羅に気になっていることを尋ねた。
「なあ、綺羅。さっきのことってどういうことだ? 吉備はこの事件には関わってないってことか?」
綺羅もまた足を止めると、振り返り雅俊を見る。
「いや…。関わっていないとは言い切れない。ただ、俺としては事件に関わっている人間がわざわざ犯人ですとばかりに、休むかなと思ったんだ」
「確かに………」
顎に手を置いた雅俊を見てから、綺羅は少し暗くなってきた空を見上げる。
「だけど、何も証拠はない。話を聞きたいというのもあって、光浦の母親にはああ言ったけど、俺自身もまだ、確証を持っては言い切れないんだ」
「わかってるって」
それでも、綺羅が少しは吉備のことを事件に関わっていないと思ってくれたことに、雅俊はうれしかった。
うれしさのあまり、綺羅の背中をバシバシと叩いてしまい、綺羅には不機嫌そうな顔を見せられたが。
そんなことはどうでもいいほど、雅俊はうれしかった。