永遠の約束-約束のはじまり-
「何を喜んでいるかは知らないけど、事態はそう甘くはないってこと。お前はわかってるのか?」
呆れた顔で雅俊を見る綺羅。
言いながらも自分の口からは溜息が漏れるのを抑え切れなかった。
「わかってるよ。そんなに単純なことじゃないってことは。だけどさ、お前が少しは俺と同じように吉備のことを信用してくれることがうれしいんだよ」
「はぁ~…、だから、お前はわかってないって言うんだ」
「なにを~? わかってるって」
ムッとした顔で言い返す雅俊。
そんな雅俊に綺羅ははっきりと言い切る。
「いいや。お前は全然わかってない。今のこの状況は、すごくやばいってことだ。犯人じゃないかもしれないってことで喜んでいる場合じゃないだろ」
「あ・・・・・」
「もし、光浦が和田あゆみと一緒に攫われているとなると、違う意味での危険性も出てくるんだよ」
「それは………」
「それに、さっき、光浦の母親が言っていた俺たちの前に来たっていう男女二人組みは海堂たちのことだろう。あいつらは、完璧に光浦が犯人だって決めつけて調べてるからな」
「でも、礼香ちゃんたちも吉備が行方不明になっているって知ったら、綺羅が考えてたように気づくんじゃないか?」
雅俊のあまりにも楽観的すぎる考えに綺羅は頭が痛くなってくる。