永遠の約束-約束のはじまり-
「大丈夫? 柏葉くん? ちょっと、慈も謝りなさいよ。さすがに、今のは慈が悪いわよ」
真里は雅俊に駆け寄ると、傍で呆然と立ち尽くす慈を咎めた。
まさか、引っ張ったことでこんな事態を起こしてしまうとは思ってもみなかった慈は、分が悪いと自分ではわかっているようだ。
だけど、慈の性格が素直に自分の非を認めて謝るという行為を拒否する。
慈はプイッと顔を逸らすと、胸の前で腕を組んだ。
「そんなの、あれぐらいでバランス崩す柏葉のほうが悪いんじゃん」
「慈っ!」
さすがの真里もあまりの慈の言い草に声を荒げる。
そんなやり取りを金網を掴んだ状態で塀の上に立つ綺羅は見下ろしていた。
「・・・・・相楽・・・」
絶対に謝らないぞとばかりの雰囲気を出している慈に綺羅は酷く冷静な声で名前を呼んだ。
「お前、今から俺たちが何をしに行くのかわかってるのか? 邪魔するようなら、さっさと帰れ」
冷たい口調できつい言葉を放つ綺羅に意地を張っていた慈は顔を赤く染める。
それは自分が悪いとわかっているからこそ、綺羅の言葉が恥ずかしかった。
それでも、いつもの慈の性格からしてすぐに言われたからといって謝りの言葉を口にすることなんてできなかった。