永遠の約束-約束のはじまり-
礼香が綺羅を見かけたのは、ほぼ一年前のことだった。
幼い頃からこの仕事をしていた礼香と真之は二人一緒に今回と同じように学校に入り込み、調査をしていた。
その依頼の仕事が終わり、事務所へと帰っていたときに、礼香は偶然にも綺羅とすれ違ったのだ。
ただすれ違っただけ。
何か印象に残るような出来事も何もない。
だけど、すれ違ったその瞬間に礼香は綺羅に見惚れてしまった。
所謂、一目ぼれというものだ。
それからの礼香はすばやかった。
あの男性が誰なのか、制服から学校名を割り出し、綺羅の名前まで調べ上げてしまった。
それからは、暇な時があれば綺羅の姿だけを隠れ見に青涼学園へと何度か足を運んでいた。
その間にも、綺羅への想いはどんどんと膨れ上がっていた。
そんなある日のこと。
偶然、青涼学園からの依頼が入り、礼香は天にも届きそうなほど喜んだ。
ただ、見ているだけの存在から、一気に近づける存在へと入ったのだった。
ただ、それまでは気づかなかったのだが、綺羅も自分たちと同じ能力者であるということが礼香には運命的な気がして仕方がなかった。
「それにしても………、あの鳥。確か、あの時、河原が口にした名前………みお…とか………」
「うん。言っていた」
頷く礼香を見てから、真之は軽く顎に手を乗せる。
「麻生のあの驚きようからして、あいつが元から持っている式とは考えられない。だとしたら、その『みお』とかいう奴が麻生が持っているあの首に下げている中に忍ばせていたことになる」
「でも、真之。あれだけの力だよ。もし、そうだとしたら、その『みお』という人物は相当の強い力を持つ人物よ。それほどの力を持つものなら、それなりに名前は通ってると思うんだけど」
礼香の最もな意見に真之は暫く考えた後、ソファから立ち上がると窓際へ行き、ノートパソコンを開けた。