永遠の約束-約束のはじまり-


「お前の言いたいことはわかった。その山口詠美には動機があるってことだろ? だけど、今回のことにはそれだけでは片付かない問題がある。そっちはどうなんだ?」


「そこなのよっ! 残念ながら、彼女には特殊な能力を扱える可能性も血筋もない」





 慈の答えに綺羅は落胆する。


 ただ、動機があるだけでは、光浦吉備の容疑ははれない。


 彼が疑われている理由の一番の理由は動機よりも、能力があるという可能性のほうが重要なのだ。


 それが山口詠美にはないとすれば、何も進んでいないことと一緒だ。


 だけど―――――


「お前がわざわざ名前と写真を出してきたぐらいだ。能力がないとしてもそれに変わるような重要な何かがあるんだろ?」





 慈はニヤッと笑うと「まあね」と自信ありげに答えた。


「彼女。山口詠美にはどんなに調べても、能力はないとしか答えが出せなかった。だけどね、ちょっと気になることがわかったのよ」


「もったいぶらずにさっさと言えよ」





 急かす綺羅のことを気にもせずに、慈はあくまで自分のペースで話を続ける。


「彼女には力はない。だけどね、彼女の周りにそういう怪しい人物はいないかって調べてみたわけ」


「いたのか?」


「いなかったのなら、こんな風に話したりしないわよ。ちゃんといた。彼女のすぐ傍にね」


「すぐ傍って……、どういうことだよ」





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