永遠の約束-約束のはじまり-
急かす綺羅だったが、それは綺羅だけではなかった。
「慈。もう、早く教えてよ」
「そうだよ、相楽。吉備にも関わりのある問題なんだぞ。あいつが犯人じゃないのなら、あいつも危険な目にあっているということになるんだからな」
三人に責められる形になり、慈はやれやれと肩を竦めた。
「もう、三人とも熱くなりすぎ。ちゃんと話すから、そう急かさないでよ」
そんなことを言われても、捕まっている人間がいるのだ。
少しでもわかったのなら、早く知って助けたい。
それが綺羅たちの思いだった。
「ねえ、私たちって、能力を持ち、いじめを受けているからって、光浦吉備にだけ目を向けていたでしょ? でも、もう一人いたのよ。あのクラスで。光浦吉備と同様の虐めを受けていた人物が」
「ちょっと待てよ、相楽。和田あゆみに虐めを受けていた人物は、結構いると言っていたよな? その中でも光浦だけが酷い虐めを受けていたって俺は聞いていたけど」
「そうなのよ、麻生くん。実はそこが盲点だった。私もすっかり騙されたわ」
慈の言葉の意味が綺羅たちにはよくわからなかった。
だけど、その答えは慈の次の言葉ではっきりとわかった。
「だって、光浦吉備がかなりの虐めを受けていたって話をしたのがあの山口詠美だったんだもの」
「「「えっ!?」」」
三人同時に驚いたのを見て、慈はバツの悪そうな顔をする。