永遠の約束-約束のはじまり-
真之がそのことに気づいたのは、綺羅がこの後のことを自分一人で引き受けると言ったことだった。
初めはもしかしたら、何の勝算もなしの無謀なことかと思っていた。
だけど、真里さえもこの場から遠ざけようとした綺羅に真之はもしかしたらという疑問が湧いてきた。
どうすればいいのかわからないとは言っていたが、それは言い換えれば、その力を使うことでどうなるかはわからないとも取れる。
そして、それを真里にさえも言わない綺羅は、自分のその力を誰にも知られなくはないのではないかと思ったのだ。
本当なら、この目で綺羅の隠したいという力を見たい。
確かめたい。
だけど、それと同時に改ざんされたデータ。
如月深青という少女の力。
未知なる力とのつながりの中にまた、綺羅も入っている。
それを知るためには、まだ情報が少なかった。
もっと情報を集めて、それから綺羅の力を確かめればいい。
今は、自分の力では到底及ばない。
綺羅に助けてもらうしか、悔しいがないのだ。
そのことに、真之は屈辱を感じた。
だからこそ、意地でもある。
「頼む」と言った、綺羅の言葉を守る。
それを確実に守ることで、少しは綺羅に任せるだけではなく自分もこの事件に貢献できたのだとなんとか納得ができるのだった。
「真之………」
黙りこむ真之に礼香が声をかけた。
「とにかく、ここから離れるぞ。
詳しい話はその後だ」
そして、綺羅から詳しいことを聞くのも、全てがおわったその後だと真之は固く思った。