永遠の約束-約束のはじまり-
第8章 事件が残した波紋
(1)
あの事件から、一週間という月日が流れた。
幸いなことに、夏休みということもあり、事件が公に騒がれることはなかった。
ただそれでも、行方不明になっていたものが、発見されたということでマスコミは殺到した。
だが、それもほんの一週間ほどのことだった。
そのすぐ後に、不可解な女性のバラバラ殺人事件が発生したからだ。
マスコミはすぐさま、その事件のほうを主に扱うようになり、自然と世間の記憶からは、この事件のことは消えていった。
しかし、世間の記憶から消えたとしても、あの事件がなかったことにはならない。
和田あゆみが行方不明になっていたという事実は、青涼学園の生徒の中では消せない事実だった。
当事者であった、内藤明彦は『一陣風霊会』にて、身柄を授かられた。
共犯と目される山口詠美は拘束されることはなかったが、自ら明彦と同じように『一陣風霊会』へと赴いたのだった。
「な~んか、納得いかないな~…」
いつものごとく、天文部の部室に集まった綺羅たち四人。
椅子をカコカコと揺らしながら、慈は不服そうに呟いた。