永遠の約束-約束のはじまり-
資料に書かれている内容は、内藤の事情聴取と、詠美からの話による、事件の真相だった。
そこには、なぜ二人がここまでの事件を起こすことになったのか、そのことも詳しく書かれていた。
「なんか、やっぱり納得いかないね………」
資料を読み終えた慈は、複雑な表情で天井を仰いだ。
二人のしたことは、とても許されるようなことではない。
だけど、二人がなぜここまでの事件を起こすことになったのか。
その引き金を引いたのはまさしく、和田あゆみだったのだから。
和田あゆみが幾人もの相手にいじめを働いていたことはすでに知っていることだった。
だけど、名前を挙げられた幾人もの中にない、山口詠美。
彼女もいじめに遭っていた一人だったのだった。
和田あゆみのグループにいた詠美だったが、それはただの呈のいい使いっパシリという形での位置だったのだ。
昼食のパンなどの調達から始まり、課題ノートの作成。
しまいには、ほとんど出かけた時の遊び代金は詠美が払うという、まさしくいじめに等しい扱い。
本当はグループからは抜けたいと思いながらも、抜けた後の仕打ちを考えると詠美はグループから抜けることはできなかった。
元来、優しい性格の詠美はあゆみが他の人物をいじめるのを見るのも苦痛で仕方がなかった。
そんな詠美の性格を知ってか知らずか、和田あゆみはついにはいじめの実行犯として詠美に強要する。
ついに耐えられなくなった詠美は幼馴染であり、不登校中の内藤にそのことを全て話してしまったのだった。