永遠の約束-約束のはじまり-
(2)
「麻生。ちょっと、いいか?」
昼休みに綺羅は真之に声をかけられた。
どうしても、二人だけで話がしたいということだったので、綺羅は慈に部室の鍵をもらい、二人は天文部の部室へと入った。
「話って、何だ?」
二人だけでということは、真里たちにも知られたくない話。
それに、この場にはあの宮城礼香の姿すらない。
つまり、彼女にも聞かれたくない話ということだ。
自分にだけの話。
どんな話なのだろうと期待する反面、綺羅にはほんの少しの不安が心の中に渦巻いていた。
「ああ……」
真之は壁に凭れ、腕を組むとじっと綺羅を見てきた。
その瞳には怖いほどの鋭さが秘められていた。
「実はな。ちょっと、気になる話を聞いたんだ」
「気になる話?」
「ああ。この前、お前たちに見せた資料、覚えているか?」
見せた資料………。
綺羅の脳裏に浮かんだのは、この前見せてもらった、事件の詳細な報告書だった。
「あの報告書のことか?」
「ああ、それだ」
「それが、どうかしたのか?」
真之は、心を落ち着かせるためか、一つ息を吐いてから顔を上げた。