永遠の約束-約束のはじまり-
震える声で聞いてくる理佐子に綺羅は何も答えることができなかった。
どこにいるのかも、今も自分のことを忘れずにいてくれているのかも知れない。
だからこそ、忘れようと思った。
そのために、理佐子の気持ちを受けた。
だけど、付き合えば付き合うほど、自分は理佐子と深青を比べている。
自分の気持ちがどれほど今も深青に向かっているかを思い知らされる。
今、ここでまたあの時の告白のようになし崩し的に付き合うことにすれば、綺羅はいつか理佐子を傷つけることになると感じていた。
だから、気持ちにほだされるわけにはいかない。どんなに自分が酷いことをしているか自覚していても綺羅は自分の決意を変える気持ちはなかった。
そんな綺羅の決意を理佐子は感じたのだろう。少しの沈黙の後、理佐子は綺羅にしがみつく手を離した。
「………わかった…。そんな困った顔しないでよ。私は綺羅くんにそんな顔をさせてまで無理に付き合ってもらおうなんて思わない」
「…先輩……」
がんばって笑顔を見せようとしてくれる理佐子を見ていると綺羅は自分がどれほど彼女を傷つけたのかと思い知らされる。