永遠の約束-約束のはじまり-







 理佐子は手を自分の首に持ってくると、かけていたペンダントを外した。


「ごめんね。大切なものを勝手に取っちゃって………」


そう言いながら、そっと綺羅の手の上にペンダントを乗せた。







 綺羅は返されたペンダントをそっと握りしめる。


なくなったと思ったときに感じた喪失感がペンダントを通して埋められていく。


そんな感じがした。


「………俺も、言い過ぎました。すみません」


「麻生くん、謝ってばっかりね」


クスッと笑う理佐子。


先ほどみたいな作ろうとした笑顔ではなく、いつもの理佐子の笑顔に綺羅は幾分ホッとした。


「………だって、俺………」


「私、今振られたからって諦めたわけじゃないわよ」





 え?





予想外の理佐子の回答に綺羅は呆気に取られる。


「中学の時に、一度は振られたんだもの。今回はまだ早かったけど、麻生くんの中で忘れなくちゃいけないという気持ちはあるんでしょ?」


「そ、それは………」


「なら、私にもいつかチャンスがくるかもしれない。気は長いほうだから、気長にがんばるわ」


言いよどむ綺羅の言葉などまるっきり無視して理佐子は一気に言い放つ。


そして、キュッと綺羅の制服の袖を引っ張った。


「………だから、避けたりしないでね。このことで私を避けたりしないで」


目を潤ませながら不安そうな顔で見つめられると綺羅はもう何も言うことができなかった。


ただ「はい……」とだけ答えることしか………。






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