永遠の約束-約束のはじまり-
「こんな時期にだが、このクラスに今日から二人の仲間が加わる。それぞれ、自己紹介をしてくれるか」
担任の申し出に女のほうが「はい…」と素直に返事をする。
そんなたった一言発しただけでクラス中に男子はまたも大騒ぎ。
「こらこら、男子。いちいちうるさいぞ」
さすがに担任も注意する。
そんな様子ににっこりと笑う女。
すると、またも男子たちは感嘆の意を述べるのだった。
担任の岩瀬はそんな様子のクラスに諦めの表情を浮かべた。
「宮城礼香(みやぎれいか)です。こんな時期に転校ということで少しドキドキしています。趣味はとにかく体を動かすことが大好きです。友達をたくさん作りたいと思っていますのでこれから仲良くしてください」
礼香はそれだけ頬を少し紅く染めながら一気に言い放つとぺこりと頭を下げた。
その途端、クラスからは歓迎の拍手。
調子に乗った一部の男子は指笛まで鳴らすほどだ。
「じゃあ、次は………」
礼香の挨拶に満足げに頷くと岩瀬は隣に立つ男へと視線を向けた。
岩瀬の視線を受け、男は無愛想丸出しの顔で自己紹介をした。
「海堂真之(かいどうまさゆき)です。よろしく」
ぶっきらぼうにそれだけを言っただけで真之は黙り込む。
「え……? それだけか?」
あまりにも素っ気ない挨拶にわざわざ岩瀬が確認をするぐらいだ。
そして、その隣では礼香が心配そうに真之のことを見ていた。
しかし、真之は「それだけです」と岩瀬に対してはっきりと言い切ったのだった。
そこまで、言いきられるとそれ以上言うこともできず、岩瀬は次へと移ることにした。