永遠の約束-約束のはじまり-
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「ハァ~…、お前はどうしてそういつもいい目にあうんだよ~…」
目の前で購買で買ってきたパンを不機嫌な顔で頬張る柏葉を見ながら、綺羅は母お手製の弁当に箸をつけた。
「いい目って………別に特にいいことなんてなかったけど?」
そっけなく返す綺羅に柏葉はムキ~と怒り出す。
「どこがいいことがないって? あんな美少女と偶然だぞ。偶然にも前後ろの関係になって。それを特にいいことなんてなかったと言うのか!?」
「美少女って………、ああ、今日転校してきた奴か」
「宮城礼香ちゃんだ。ちゃんと、名前で言ってやれよ」
「ああ、あいつそんな名前だったんだ」
「お前、自己紹介とか聞いてなかったのか?」
弁当のおかずを口に入れながら淡々と話す綺羅に柏葉は呆気に取られた。
「まあ………な」
さすがに決まりが悪いのか綺羅は少し言葉を詰まらせた。
「ハァ~…、どうして神様はこんな女に興味のない男にばかりチャンスを与えて、俺のように求めている者にはチャンスを与えてくれないんだ~?」
誰に向かって何を言っているのかわからないが、柏葉は両手を広げてから神に願うように手を握り合わせた。
馬鹿なんじゃないか。
目の前で祈りのポーズを捧げる柏葉を見ながら、綺羅はなぜ自分が今もこの男と友達関係を続けているのか疑問に思わずにはいられなかった。