永遠の約束-約束のはじまり-
「それで?」
綺羅の問いかけに、真里はハッとする。
「あ、うん………。実は………」
そう言葉に詰まると真里はチラリと自分の席の方を見る。
真里の視線を追うように綺羅もその先を見つめると、そこには真里の友達であり、綺羅が最も苦手とする女。
相良慈(さがらけい)がこちらに向かってにこやかに手を振っていた。
途端に、綺羅は顔を引きつらせた。
「パス」
「えっ!?」
間髪入れずに、何も言っていないのにその場で綺羅は拒否する。
「ちょ、ちょっと待ってよ、綺羅くん! 聞かないうちから拒否しないで」
「聞かないうちって………。あいつからの頼まれごとで今まで何もなかった試しないし」
綺羅の意味深な言葉にも真里は言い返すこともできず、複雑な表情で黙り込む。
それもそのはず、綺羅だけではなく、その点では真里も被害者だ。
「で、でもね………」
「とにかく、パスって言ったらパス」
言い切る綺羅に真里は深くため息を吐いた。