永遠の約束-約束のはじまり-
「ハァ~…、全く、陸が学校に行くまでは戦争のようね」
今まで散々陸の存在を忘れてよくわからない体操をしていただけの母に綺羅は冷たい視線を向けた。
「俺も、そろそろ行くよ」
席を立つ綺羅に美恵子は「えっ?」とばかりに時計を見る。
「いつもよりも早くない?」
「うん…、まあ、ちょっとね………」
言葉を濁す綺羅の腕にいきなり、美恵子はしがみついてきた。
「ねえ、それって告白?」
「はぁ?」
自分の腕にいきなりしがみついてきたかと思えば、突然そんなことを言い出す母親に綺羅は呆れるしかなかった。
(なにがどうなったら、そういう考えに結びつくんだ?)
「綺羅って、母親の私から見てもお世辞抜きでも、すっごくかっこいいし、魅力的なのよね。これは女の子は綺羅のこと逃がさないでしょ」
「だから、違うって!」
「ま~たまた、謙遜しちゃって~」
この母親に何を言っても無駄だと早々に諦め、綺羅は鞄を持つと後ろで騒いでいる母を無視して玄関へと向う。