永遠の約束-約束のはじまり-
「人の優しさをそういう風に返すことよっ!」
「別に、関わって欲しくないから言っただけでしょ。それとも何? 優しく気にかけてもらったら何でも話さなくちゃいけないとでも言うわけ?」
慈のその言葉に転校生である礼香がビクッと体を震わせた。
「ご、ごめんなさい。杉本さん、相良さんの言うとおりよ。誰にでも言えないことはあるわ。私がそんなことも考えずに声をかけてしまったのが悪いの。だから、やめて。ねっ?」
「でも………」
当の本人のそう言われてしまうと、今日子はもう何も言えなくなってしまっていた。
だが、それでも慈に対する怒りがおさまったようには全然見えなかった。
「フゥ~…」
なんとか大事になる前に落ち着いた状況を見て、綺羅はホッと息を吐いた。
あまりにも酷くなりそうなら、自分が間に入るしかないと思っていた綺羅は本当に心から安堵した。
それにしても………
綺羅は苦い顔をしながら、慈のことを見る。
不機嫌丸出しの慈は、あんなことがありその顔を一段と険しいものにしていた。
ただでさえ、不機嫌だったものが、もう全く手がつけられないほどになっているように見えた。
触らぬ神に崇りなし。
今は、あいつには絶対に近づかないようにしよう。
綺羅は心に固く誓い、騒動のために慈のほうを見ていた視線を窓の外へと戻した。