永遠の約束-約束のはじまり-
「綺羅……くん…」
「はあ?」
初めて会ったばかりの人物に下の名前で言われるほど自分はそれほどフレンドリーな性格ではない。
綺羅は目に見えて不機嫌な表情をあらわにした。
そんな綺羅の表情を見て彼女が「あ、あ、あっ」と慌てだした。
「あのね、あの、覚えていないかな? 本当に偶然なんだけど、私、昔、綺羅くんに会ったことあるんだよ? 存在感薄いから覚えていないかもしれないんだけど………」
綺羅は記憶を呼び起こそうと眉を寄せる。
こんな能力を持つような奴だと絶対覚えがあるはずなんだけど………
どれほど考えても綺羅の記憶には覚えがない。
「悪いけど………」
「そ、そっか。あっ、じゃあ、深青ちゃんのこと覚えている?」
「みお?」
「そっ! 如月深青ちゃん。私は綺羅くんとは入れ違いみたいにして転校しちゃったから綺羅くんとは一度しか遊んだことないんだけど、深青ちゃんのことなら覚えてない?」
綺羅は息が止まるかと思った。
こんなところで、深青のことを知る人物と会うことがあろうとは思いもよらなかった。
「あ、あの~? 綺羅くん? もしかして、知らなかったりする…のかな?」
何も答えない綺羅に彼女は不安そうな顔を向けた。