永遠の約束-約束のはじまり-
「あ、いや………って言うか、お前、名前は?」
「あ、ごめんね。私は河原真里(かわはらまり)。昔、この力のことで如月神社にお世話になってたんだ」
「お前も………。ああ、だから…」
綺羅はプレハブの周りに張り巡らされている膜を見ながら、妙に納得した。
「うん。私の力は結界を張ること。防御型ってとこかな? 霊感はあるから霊はもちろん見えるんだけど、退治したりすることはできないの。ただ防ぐことだけなんだ。ところで、綺羅くんは?」
「俺? 俺は………」
綺羅は自分の左手を見る。
「お前とは反対。攻撃型」
「へぇ~…、そうなんだ~。すごいねぇ~」
素直に感心してくる真里に綺羅は自然と笑みを浮かべていた。
「別にすごかねぇよ。俺からしてみれば、お前のその結界の力のほうがすごいさ。攻撃型なんて言ってても、目の前に霊が現れたら結局は逃げることしかできないんだしさ」
「そ、そうなんだ」
静かに黙り込む真里を余所に綺羅は真里が結界を張ったプレハブを見る。
「お前もここに何かがいるって感じたのか?」
「あ、うん。だから、一応、誰かが入ることがないように結界を張っておいたの。ここ最近、好奇心でここに近づこうとしていた人たちがいたから」
「ああ、そういえば、ここ最近、妙な噂話が流行ってたからな」
綺羅はつい最近、親友である柏葉から聞いた話を思い出した。