実の弟に恋をしました。
「……あ。バレた?」
「なっ!覚えてないって言ったくせにっ」
記憶ないだなんて言っておいて…
あのキスのせいで、あたしがどんだけ悩んだと思ってるのよ……。
「…わりぃ。あの時はマジで我慢できなかったんだよっ」
「だからって、あたしだけがドキドキしてバカみたいじゃん…」
「ふーん。ドキドキしてたんだ?」
「……っ、」
「フッ…」
言葉に詰まるあたしに、陸が悪戯っぽく笑って。
また、いつもの調子のあたしたちに戻る。
それは、どこにでもある、姉と弟の言い争いの風景のようだった。
ただひとつ。
固く繋がれた手を除けば。