実の弟に恋をしました。
「二名様ですね。どうぞー」
さわやかな笑顔のお兄さんに誘導され、狭いゴンドラへと乗り込む。
──パタン。
「……」
「……」
扉が閉まった瞬間、訪れる静寂。
観覧車はゆっくりと動き出し、あたしたちを夜の空へと運んでいく。
「…なに微妙に避けてんの?」
──へ!?
「べ、別に避けてなんか…」
なんて言いつつも、陸にはすっかりお見通しのようで……。
一人緊張して意識しまくっているあたしに、呆れたように笑いながら言う。
「こんな所で襲ったりしねーよ」
「…なっ!」
あたしは、そうゆうことを考えてたわけじゃなくてっ!
顔を真っ赤にして慌てふためくあたしを、陸は肩を震わせて笑ってる。
な、なんかムカつく…。
いつだって陸は余裕たっぷりで、年上のあたしをからかって…。
なんだかあたしだけがドキドキしてるみたいで、悔しいよ。