実の弟に恋をしました。



「二名様ですね。どうぞー」


さわやかな笑顔のお兄さんに誘導され、狭いゴンドラへと乗り込む。




──パタン。


「……」

「……」


扉が閉まった瞬間、訪れる静寂。


観覧車はゆっくりと動き出し、あたしたちを夜の空へと運んでいく。




「…なに微妙に避けてんの?」


──へ!?


「べ、別に避けてなんか…」


なんて言いつつも、陸にはすっかりお見通しのようで……。


一人緊張して意識しまくっているあたしに、呆れたように笑いながら言う。


「こんな所で襲ったりしねーよ」


「…なっ!」


あたしは、そうゆうことを考えてたわけじゃなくてっ!


顔を真っ赤にして慌てふためくあたしを、陸は肩を震わせて笑ってる。


な、なんかムカつく…。



いつだって陸は余裕たっぷりで、年上のあたしをからかって…。


なんだかあたしだけがドキドキしてるみたいで、悔しいよ。



< 159 / 380 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop