実の弟に恋をしました。
ムッとして窓にへばりついていると。
「…なに怒ってんの」
陸の腕が伸びて、あたしの髪に触れた。
まるで子供をあやすみたいに、優しく、あたしの頭を撫でてくれる。
その行為だけで、あたしの心は満たされてゆく。
暖かい手…。
大好きな手。
この手が、ずっとずっとあたしの為に在ってほしい。
「……」
あたしは、無意識に陸の手に触れると、それを頬にあてがった。
温かい…陸の温度。
この手に触れられるあたしは、きっと世界で一番幸せな女の子かもしれない。
「…おま…そうゆうことすんなって……」
余裕無くなるだろ、と真っ赤な顔で俯く陸が可愛くて。
……いとおしくて。
仕返しの意を込めて、あたしはそっと、陸の手の甲にキスを落とした───。