実の弟に恋をしました。
「……ごちそう様でした」
「あ、姉貴!」
椅子から立ち上がろうとしたあたしの腕を、陸が掴む。
「へ…」
「……大丈夫か?」
「え、何が?」
「嫌な夢でも見た?」
嫌な夢、か。
そうだね…確かに嫌な夢かもしれない。
目覚めた瞬間、いっきに現実を目の当たりにして悲しくなるから。
「平気だよ。それより陸、早く行かないと遅刻しちゃうよ?今日試験でしょ?」
「…あ、うん」
陸に余計な心配させるなんて……
ただでさえ、陸は今年受験を控えているのに。
自分自身に嫌気が差す。
──ちゃんと、現実を受け入れなくちゃ。