実の弟に恋をしました。




玄関を前に、大きく深呼吸する。


ドアの向こうに、陸がいる──。



「何やってんの?早く入ろうよ」


そんなあたしを見かねたのか、由紀がドアの前にズイッと進み出た。



──ピンポーン。



えっ?


「ちょちょちょっと!何チャイム押してるの!」


「えー?だって陸くんが出迎えてくれるかもしれないじゃない?」


ペロッと舌を出して、まるで悪戯っ子のように笑う由紀。


「…はぁ」

あたしは大きく溜め息をついた。



そして、





「……はい」


──ガチャ。






「…り、陸くん?」


「…あ、こんばんは」




バカー!

なんで今日に限って出てくるの!



ふと、隣にいる由紀の表情を覗けば、完全に目がハートマークになっている。



< 172 / 380 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop