実の弟に恋をしました。
「あっ、き…今日、うちに泊まるから」
すかさず、口を挟んで釈明する。
「…ふーん」
陸は一瞬チラリとあたしに視線を向けたと思ったら、再び固まる由紀に微笑みかけた。
「いらっしゃい。えっと…由紀さん、だっけ」
「は、はいっ」
由紀は耳まで真っ赤にして、陸を見つめている。
その顔はまるで恋する乙女そのものだ。
その時。
──ズキン。
胸の奥が、チクリと痛んだ。
同時に込み上げてくる、どろどろした感情。
苛立たしいような、じれったいような、もやもやした感情が鬱積する。
うまく言い表せないけど、それが良い感情では無いことは分かった。
「姉貴、飯は?」
「あっ…た、食べてきたから大丈夫…」
──ズキン。
また、だ。
陸に「姉貴」と呼ばれた瞬間、胸が締め付けられそうになった。
お母さんやお父さんの前では平気なのに、どうしてだろう……。
今日のあたしは、どこか変だ。