実の弟に恋をしました。



ベッドの上にあぐらをかいて、由紀はうっとりとした表情を浮かべている。


「あんだけかっこよかったらさ、やっぱり彼女も可愛いんだろうね。羨ましいなぁ……」


「……」


「てか、陸くんって彼女いるの?いないんだったら立候補しちゃおうかなー…なんて」



……嫌だ。


陸は、誰にも渡さない。





「真弥?」


「……陸は、駄目だよ」


「え?やだな、冗談に決まってるでしょ。それに、一応慶太さんがいるしね」


そう言っておどけてみせる由紀。

それでも、あたしの嫌な感情は収まらなかった。


…なんだろう。

イライラする。


由紀が本気で陸を狙うはず無いってことくらい、分かってるつもりなのに。




嫉妬、独占欲。




仮にも親友相手にこんな感情を抱くなんて、あたしは最低だ。


堂々と「陸の彼女は自分だ」と言えないこのもどかしさにもイライラする。


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