実の弟に恋をしました。



「ふふ。あたし、ワケありでこっちの高校受けたんだ」


昔と変わらない柔らかい笑顔で、梓ちゃんは笑う。


確かに…よく見ればこのセーラー服、有名な私立高校の制服だ。


「今は隣町の従姉妹の家でお世話になってるの」


「そうだったんだ…」


「で、さっきまで地元の友達と会ってたんだけど、久しぶりのこの道通ったら二人がいるんだもん。ビックリしちゃった」



…いやいや、驚いたのはあたしのほうですって。


梓ちゃんってば、すっかり大人っぽくなっちゃったし。

ショートカットだった髪の毛も、今では毛先がゆるく巻かれていて。

ほんのり化粧もしてるのか、うんと垢抜けている。



< 197 / 380 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop